第59代 代表幹事
村田眞一郎

議論を重ねて、それぞれの未来を重ねよう

 昨年度、「まずは、議論から始めよう そして、想定外の未来を創造しよう」というスローガンのもと八代経済開発同友会の代表幹事として活動させていただきました。限られた時間の中で、議論を尽くすための機会を十分に設けることができたとは言えませんが、その中でも、様々な意見や見方に気付かされることが多くありました。今年度は、さらに核心に迫る議論の場を設けられればと考えます。
 とはいえ、県北の企業誘致による急速な発展と環境変化は待ったなしの状態です。その影響は良いことも悪いことも合わせて大きなものと予想されます。議論をして足元を見つめている場合ではないということも事実です。一方では進みながら考えることも必要です。この熊本県で起こっている、言ってみれば外圧による急激な変化は、なかなか変化することに慣れていない地方都市が抱える課題をさらに浮き彫りにし、否応なくすぐにでも対応しなければならない状態にしました。急激な変化を利用し成長に結びつけるのか、大きな波にのまれ淘汰されるのか、問われる事になります。
TSMCの進出による産業の下支えは、ソサイエティ5.0を前提にすればしばらくは期待できます。八代市も新八代駅周辺を中心にした開発と物流拠点などの用地整備を加速させるための推進本部を設置しました。その背後にある八代の未来像を確実に実現するには、各界で共有し、それぞれの役割を十分に発揮する必要があります。
 一方で、その八代の未来像は、必ずしも県央、県北を中心とした開発の受け皿としてだけではないはずです。十分なポテンシャルを持つ八代は、当然独自の、唯一無二の未来像があるはずです。それを実現するのは、我々自身だという認識で進みたいと思います。真実を見通す力を持ち、情報のみに惑わされず、我々独自の明るい未来を描きたいと考えます。
 そのための前提として、今年度は、議論をさらに深め現実的な行動へ移すための基盤を早急に整備する必要があります。コロナ禍と戦争等で、前提としていたこれまでのグローバリズムや持続可能な社会のあり方も変容しているかも知れません。個人主義が地域社会性を凌駕する中、さらにその変化は加速したようにも感じます。すでにあるコミュティーの中でITの技術を使ってより深いコミュニケーションを実現し、さらにこれまで関わりが少なかったコミュニティー同士を繋ぐことで、これまでとは違う新しいコミュニティーが生まれます。我々も、最新のテクノロジーを駆使して新しい絆を生み出すことができれば、八代市内の活性化はもちろん、広域の活性化が実現すると考えます。それは、情報の共有が例えば労働力の共有を実現するように、人流自体もこれまでとは違うものを生み出すことができると考えます。
 本年度の活動は、八代市の独自の良さを活かした未来を実現するために、これまで以上に八代経済開発同友会会員間の交流を促進し、同友会としての未来像を描くことはもちろん、さらには、周辺地域、関係団体、そしてギャップがあるとされる世代間がもつそれぞれの望む未来像を共有することで、八代の未来の全体像を描きながら、外部と連携することで実現を図ります。
 さらに、本年は八代経済開発同友会の60周年の節目の年でもあります。当会は時代と共に、変化し進化し続けてきました。生活環境、経済環境の変動を受けそれに対応し、今では地域でも独自のポジションを確立しつつあります。我々八代経済開発同友会が、八代の経済団体としてのみならず、八代市民として輝かしい八代の未来像を提示できればと考えています。そして、この60年の軌跡を祝いつつ、50周年に描いた夢をよりアップデートし、会員企業のみならず八代市、周辺地域のより輝かしい未来の実現に具体的な一歩を踏み出し邁進してまいります。
 行政の皆様、各関係諸団体の皆様とは、輝かしい未来ある八代の実現のため、より連携を強化し共に協力しつつ、これまで以上のご指導、ご支援を賜りたく存じ上げます。